FXの注文方法|成行・指値・逆指値の違いと使い分け
FXの注文方法は、覚えることが多いように見えます。成行、指値、逆指値、IFD、OCO、IFO。カタカナと漢字が入り混じっていて、解説を読んでも頭に残りにくい。
とくに混乱しやすいのが、指値と逆指値です。「どっちがどっちだったか」が毎回あいまいになる。
原因は、多くの解説が「買いの場合は」「売りの場合は」と場合分けで説明するからです。買いと売り、新規と決済で4通りになり、暗記の対象が増えます。
この記事では、それを1つの軸で整理します。覚えることは、次の1行だけです。
指値は「今より有利な価格」、逆指値は「今より不利な価格」
まず成行注文から
成行注文は、価格を指定せず、今の値段で即座に売買する注文です。
「今すぐ買いたい」「今すぐ決済したい」というときに使います。条件を付けないので、ほとんどの場面ですぐに約定します。
成行の注意点
すぐ約定する代わりに、注文を出した瞬間の価格と、実際に約定した価格がずれることがあります。これをスリッページと呼びます。
ずれは有利な方向にも不利な方向にも起こりえますが、問題になるのは不利な方向にずれた場合です。とくに次のような場面で起こりやすくなります。
- 経済指標の発表直後
- 早朝など取引が少ない時間帯
- 相場が急激に動いている局面
「今の価格で買えるはず」と思って出した注文が、想定より不利な価格で成立する。成行を使うときは、この可能性を織り込んでおく必要があります。
指値と逆指値は「有利か不利か」で分かれる
ここが本題です。
指値は、今より有利な価格を指定する注文
- 買いなら、今より安い価格を指定する
- 売りなら、今より高い価格を指定する
米ドル/円が159円のとき、「158円になったら買う」が指値の買い、「160円になったら売る」が指値の売りです。
どちらも、今より得な条件で取引したいという指定です。
逆指値は、今より不利な価格を指定する注文
- 買いなら、今より高い価格を指定する
- 売りなら、今より安い価格を指定する
159円のとき、「160円になったら買う」が逆指値の買い、「158円になったら売る」が逆指値の売りです。
わざわざ損な条件を指定するように見えますが、これには理由があります。後で説明します。
覚え方
「買いなら以下、売りなら以上」といった対応を覚える必要はありません。
今の価格より有利な方を指定していれば指値。不利な方を指定していれば逆指値。それだけです。買いか売りかを気にする必要がありません。
新規と決済で、同じ注文が違う意味を持つ
もう1つの混乱の原因が、これです。
同じ「逆指値」という言葉が、新規注文では順張りのエントリーになり、決済注文では損切りになります。真逆のことをしているように見えます。
しかし「今より不利な価格を指定している」という点では、どちらも同じです。
4つのパターン
新規か決済か、指値か逆指値か。組み合わせは4通りしかありません。
| 指値(今より有利) | 逆指値(今より不利) | |
|---|---|---|
| 新規(ポジションを持つ) | 押し目買い・戻り売り。今より良い価格を待つ | ブレイク狙い。上がり始めたら乗る |
| 決済(ポジションを閉じる) | 利益確定。目標価格に届いたら閉じる | 損切り。想定を超えて逆行したら閉じる |
この4マスが頭に入れば、注文で迷うことはほとんどなくなります。
それぞれの具体例
米ドル/円が159円のときで統一します。
新規・指値の買い 「158円まで下がったら買いたい」。今より安く買える。下がるのを待つ形です。
新規・逆指値の買い 「160円を超えたら買いたい」。今より高く買うことになりますが、160円を超えたら上昇が続くと考えるなら、この指定になります。
決済・指値 159円で買ったポジションを「162円になったら決済したい」。利益確定です。
決済・逆指値 159円で買ったポジションを「157円になったら決済したい」。損切りです。
逆指値は「損をしにいく注文」ではない
決済の逆指値、つまり損切り注文には、心理的な抵抗があります。あらかじめ損失を確定させる指示を出すのは、負けを認めるように感じられるからです。
しかし実際にやっていることは違います。
逆指値を置くというのは、損失の上限を自分で決めるということです。置かなければ、上限を決めていないだけで、損失が小さくなるわけではありません。
ロスカットは強制的に発動しますが、その水準は会社が決めたものです。逆指値を使えば、それより手前の、自分が決めた価格で終われます。
耐えられる値幅の考え方はロスカットと証拠金維持率で計算しています。
組み合わせの注文
基本の3つが分かれば、組み合わせは応用です。
| 名前 | 内容 |
|---|---|
| IFD | 新規注文と決済注文をセットで出す。新規が約定したら決済注文が有効になる |
| OCO | 2つの注文を同時に出し、片方が約定したらもう片方が取り消される |
| IFO | IFDとOCOの組み合わせ。新規・利益確定・損切りの3つを一度に出す |
IFOが実用的な理由
IFOを使うと、エントリーの価格、利益確定の価格、損切りの価格を、注文を出す時点ですべて決められます。
新規が約定すると、利益確定(指値)と損切り(逆指値)が自動的に有効になります。どちらかが約定すれば、もう片方は取り消されます。
つまり、注文を出した瞬間に、その取引で起こりうる結果が2通りに絞られます。チャートを見続ける必要がなく、判断が揺れる余地も減ります。
なお、利益確定は指値、損切りは逆指値と決まっています。エントリーだけは指値と逆指値のどちらも選べます。
注文が約定しないこともある
指値と逆指値には、共通の弱点があります。指定した価格に届かなければ、いつまでも約定しません。
新規注文なら、取引の機会を逃すだけです。しかし決済注文の場合、約定しないまま含み損が膨らむことがあります。
また、価格が一瞬だけ指定値に触れて戻った場合、約定するかどうかは状況によります。相場が急激に動いた場面では、指定した価格を飛び越えて約定することもあります。
指値と逆指値は「その価格で必ず約定する」ものではなく、「その価格に達したら注文が発動する」ものだと理解しておく必要があります。
よくある質問
指値と逆指値、どちらを使えばいいですか
目的によります。今より良い価格を待つなら指値、値動きの方向が確認できてから入るなら逆指値です。決済では、利益確定が指値、損切りが逆指値と決まっています。
成行と指値では手数料が違いますか
国内のFXでは、注文方法によってコストが変わることは基本的にありません。かかるのはスプレッドで、これは注文の種類に関係なく発生します。
逆指値を置かないとどうなりますか
ロスカットが発動するまでポジションが維持されます。ロスカットの水準は会社が決めたもので、自分で調整はできません。逆指値を置けば、それより手前の価格で自分の意思で終われます。
注文はいつまで有効ですか
有効期限を指定できるのが一般的です。当日限り、週末まで、無期限など、会社によって選べる範囲が異なります。期限を過ぎると注文は失効します。
スリッページは避けられますか
完全には避けられません。ただし、許容するスリッページの幅を設定できる会社もあります。設定した幅を超えるずれが生じた場合、注文が成立しない仕組みです。
まとめ
- 成行は今の価格で即座に売買する注文。約定は速いが、スリッページが起こりうる
- 指値は今より有利な価格、逆指値は今より不利な価格を指定する注文
- 買いか売りかで覚える必要はない。有利か不利かの一軸で決まる
- 新規と決済で4パターン。この4マスが分かれば迷わない
- 決済の逆指値は損失の上限を自分で決めるもの。置かなければ上限が決まらないだけ
- IFOを使えば、注文時点で結果を2通りに絞れる
注文方法は種類が多く見えますが、判断の軸は「今より有利か不利か」と「新規か決済か」の2つだけです。
取引の前に必要な資金の考え方はFXの始め方で、用語全体はFXのしくみをたしかめるにまとめています。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FXには損失が生じるリスクがあります。取引の判断はご自身の責任において行ってください。
※注文方法の名称や仕様は会社によって異なる場合があります。実際の取引条件は各社の公式サイトでご確認ください。
コメント
コメントを投稿