FOMCの利上げ確率はどこで見られる?市場の織り込みを確認する方法


 


相場のニュースを読んでいると、「織り込み」という言葉がよく出てきます。

「9月の利上げを60%織り込んだ」「すでに織り込み済み」といった使われ方をします。ただ、この数字がどこから来ているのかは、あまり説明されません。

2026年8月28日、この数字が1日で大きく動きました。ジャクソンホール会議でのウォーシュFRB議長の講演を受けて、9月の利上げを見込む確率が35%台から60%近くまで上昇しています。

そしてドル円は160円台を回復しました。

この記事では、その「織り込み」がどう算出され、どこで確認できるのかを整理します。

8月28日に何が起きたか

時系列で並べます。

タイミング内容
米指標の発表後シカゴ購買部協会景気指数やミシガン大学消費者信頼感指数の悪化を受け、一時159円39銭まで下落
ウォーシュ議長の講演物価抑制を優先する姿勢を示す発言
講演後米10年債利回りが一時4.72%台まで上昇。ドル買いが加速
ニューヨーク市場160円20銭まで上昇し、160円09銭で引け

議長の発言内容は、インフレが目標に向けて明確に十分な速度で改善すると確信できなければ、なすべきことがある、というものでした。FRBの現在の主要な焦点は物価にあるべきだ、とも述べています。

利上げに前向きな姿勢と受け止められ、市場の見方が変わりました。


「織り込み」とは何か

市場が将来の政策変更をどれくらい見込んでいるかを、確率で表したものです。

この確率は、金利先物の価格から逆算されています。

仕組み

金利先物は、将来の金利水準を取引する商品です。市場参加者が「9月に利上げがある」と考えていれば、その分だけ先物価格に織り込まれます。

逆に言えば、先物価格を見れば、市場が利上げをどの程度見込んでいるかを数値として取り出せます。

この計算をして公表しているのが、CMEグループの提供する FedWatch というツールです。無料で公開されており、誰でも確認できます。

「織り込み済み」の意味

相場は、現在の政策ではなく将来の見通しで動きます。

利上げが完全に織り込まれていれば、実際に利上げが行われても大きく動かないことがあります。すでに価格に反映されているためです。

逆に、織り込みが低い状態で利上げが示唆されれば、修正が起こって価格が動きます。8月28日に起きたのはこれです。


1日で35%台から60%近くへ

講演前後の変化を見ます。

時点9月利上げの織り込み
講演前35%台〜40%弱
講演後57%〜60%程度

講演ひとつで、確率がほぼ倍になりました。

数字が報道によって違う

ここで注意が必要な点があります。同じ出来事について、報じられている数字が微妙に違います。

報道講演前講演後
ある報道35.4%59.5%
別の報道40%弱約60%
さらに別の報道約35%約57〜60%

どれかが間違っているというより、測定した時刻が違うと考えるほうが自然です。織り込み確率は先物価格から算出されるため、価格が動けば確率も動きます。刻一刻と変わる数字です。

「35.4%から59.5%へ」という記述を見ると確定した数値のように感じますが、実際にはある瞬間を切り取ったものです。

数字を見るときは、いつ時点のものかを意識しておく必要があります。




160円という水準

ドル円が160円台に乗せたことで、別の要素も意識されています。

7月31日に日米協調介入が実施されたとみられる水準が160円台でした。また160円は財務省の防衛ラインとみられるという見方も出ています。

介入額については、8月28日に財務省が7月30日から8月26日までで15兆3993億円と公表しました。月次ベースで過去最大です。詳しくは過去最大15兆円の介入額が判明した日に、ドル円は160円台を回復したで扱っています。

当サイトは介入の有無や相場の方向を予想しません。 上記は確認できた事実の整理です。


米国側も円安を警戒している

もう一つ、今回の局面に特徴的な点があります。

ベッセント米財務長官が書簡で、無秩序な円相場が米国の金利上昇リスクになるとの見解を示したと報じられました。円相場が無秩序な動きとなれば世界の市場を不安定化させる、とも述べています。

通常、円安を止めたいのは日本側です。しかし米国側も懸念を示している形になります。

7月31日に日米協調介入が行われたのも、この文脈で理解できます。米財務省がニューヨーク連銀を通じてユーロ売り・円買いを実施したと報じられており、日米の協調介入は2011年以来15年ぶり、円買い方向では1998年6月以来28年ぶりでした。

介入の仕組みは為替介入とは?で整理しています。


9月の日程

金融政策をめぐる日程が続きます。

日付内容
9月4日(金)米8月雇用統計
9月15日(火)・16日(水)米FOMC
9月17日(木)・18日(金)日銀 金融政策決定会合

米国のFOMCの翌日から、日本の会合が開かれます。日米の中央銀行が連続して判断を示す日程です。

雇用統計は、9月のFOMCを見通すうえでの材料になります。雇用統計の見方と、数字が後から改定される仕組みについては米雇用統計とは?で扱っています。


何を確認すればいいか

織り込みの水準

FedWatchで、次回会合の利上げ確率を確認できます。ニュースで報じられた数字が、いつ時点のものかも意識してください。

変化のタイミング

確率が動いたとき、何がきっかけだったかを確認します。要人の発言か、経済指標か。それによって、次に何を見るべきかが決まります。

実際の値動きとの対応

織り込みが変わったとき、為替と金利がどう動いたか。両方を並べると、市場が何に反応しているかが分かります。

8月28日は、織り込みが35%台から60%近くへ動き、米10年債利回りが4.72%台まで上昇し、ドル円が160円台を回復しました。この3つが同じ方向を向いています。


よくある質問

織り込み確率はどこで見られますか

CMEグループが提供するFedWatchで確認できます。無料で公開されています。

確率が100%になることはありますか

近い水準まで上がることはあります。ほぼ確実と見なされている場合です。ただし100%になっても、実際にそうなるとは限りません。あくまで市場の見方を数値化したものです。

日銀の利上げについても同じような確率がありますか

日本にも金利先物市場があり、同様の推計が行われることがあります。ただし米国のFedWatchほど広く参照される標準的なツールは定着していません。報道では「市場は◯割程度織り込んでいる」といった表現が使われます。

織り込みが高い状態で利上げされたら、相場は動きませんか

織り込み済みの部分は動きにくくなりますが、声明文の内容や記者会見の発言によって、その先の見通しが変わることがあります。利上げの有無だけでなく、その後の方針も材料になります。

なぜ講演だけで確率が動くのですか

金融政策を決めるのは会合ですが、市場は事前に見通しを立てています。政策を決める立場の発言は、その見通しを変える材料になります。決定そのものではなく、決定の手がかりに反応している形です。


まとめ

  • 「織り込み」は、市場が将来の政策変更をどれくらい見込んでいるかを確率で表したもの
  • 金利先物の価格から逆算され、CMEグループのFedWatchで無料で確認できる
  • 2026年8月28日、ウォーシュFRB議長の講演を受けて、9月利上げの織り込みが35%台から60%近くへ上昇した
  • 同時に米10年債利回りが4.72%台まで上昇し、ドル円は160円09銭で引けた
  • 報道によって数字が違うのは、測定した時刻が違うため。 織り込み確率は刻一刻と変わる
  • 160円台は7月31日に日米協調介入が実施されたとみられる水準
  • 9月は4日に米雇用統計、15〜16日にFOMC、17〜18日に日銀会合

ニュースで見る確率は、ある瞬間を切り取った数字です。自分で確認できる場所を知っておくと、報道の数字がどの時点のものかを判断できます。

相場を見るときの軸は相場をたしかめるで整理しています。


※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。相場の見通しや金融政策の行方を予想するものでもありません。FXには損失が生じるリスクがあります。取引の判断はご自身の責任において行ってください。

※本文中の数値は2026年8月31日時点で確認できた公表情報および報道にもとづきます。織り込み確率は常に変動しており、記載の数値は特定時点のものです。

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