過去最大15兆円の介入額が判明した日に、ドル円は160円台を回復した

 



2026年8月28日、日米それぞれの材料が数時間の間隔で出ました。

午後7時、財務省が為替介入の実績を公表しました。7月30日から8月26日までの介入額は15兆3993億円で、月次ベースでは過去最大です。

その4時間後の午後11時、ジャクソンホール会議でウォーシュFRB議長が講演しました。これを受けてドル買いが加速し、ドル円は160円台を回復しました。

この記事では、何が起きたのかを時系列で整理します。

8月28日に起きたこと

時刻(日本時間)内容
午後7時財務省が介入実績を公表。7月30日〜8月26日で15兆3993億円
午後11時ウォーシュFRB議長がジャクソンホール会議で講演
講演後ドル買いが加速
ニューヨーク市場の引け160円09銭

ニューヨーク外国為替市場では、ドル円は159円41銭まで弱含んだ後、160円20銭まで上昇し、160円09銭で引けました。


介入額は15兆3993億円

月次ベースで過去最大

財務省は8月28日、7月30日から8月26日までに計15兆3993億円の為替介入を実施したと発表しました。月次ベースの介入額としては過去最大です。

この期間には、7月30日の日本単独の円買い介入と、7月31日の日米協調介入が含まれます。

過去の実績と並べると、規模が分かります。

時期金額
2022年9月〜10月9兆1881億円
2026年4月28日〜5月27日11兆7349億円
2026年7月30日〜8月26日15兆3993億円

市場の想定を上回った

公表前、市場では12兆円程度と見込まれていました。日銀当座預金残高の動向などから推計された数字です。

実際の公表値はこれを3兆円以上上回りました。

公表前には、想定を超える額であれば財務省の円安阻止姿勢の強さを印象付け、円買いにつながる可能性があるという見方も出ていました。

それでも円は買われなかった

公表は午後7時でした。しかしその日のうちに、ドル円は160円台まで上昇しています。

介入額の大きさは、この日の相場の方向を決める材料にはなりませんでした。


ウォーシュ議長の講演

講演前の状況

ウォーシュ議長は、将来の金融政策の方針や金利見通しを事前に示すことに消極的とされています。このため、講演前の時点で市場はFRBの9月利上げを40%弱しか織り込んでいませんでした。

つまり、利上げに前向きな内容が出れば、織り込みの修正が起こりうる状態でした。

講演後にドル買いが加速

講演を受けて、ドル買いが加速しました。報道では、インフレが目標に向かって速やかに進まなければ対応する余地があるという趣旨の発言が伝えられています。

ドル円は159円41銭から160円20銭まで、約80銭の上昇となりました。

会議の仕組みと、講演前の状況についてはジャクソンホール会議とは?で整理しています。


過去最大の介入をした水準に、1か月で戻った

ここが、この日の数字が示している点です。

ドル円の推移を並べます。

日付水準
7月23日163円98銭(約40年ぶりの円安水準)
7月30日夜介入により162円台後半から157円台後半へ
8月3日155円21銭
8月27日159円52銭
8月28日160円09銭で引け

7月30日の介入前、ドル円は162円台後半にありました。そこから約1か月で、160円台まで戻っています。

投じられた金額は15兆3993億円で、月次ベースの過去最大でした。



この事実が意味すること

介入が無意味だったということではありません。7月23日の163円台から、8月3日には155円台まで、およそ8円の円高が進んでいます。急激な変動を抑えるという目的に照らせば、短期的な効果は生じています。

一方で、円安の流れそのものは変わりませんでした。約1か月で介入前の水準に接近しています。

為替相場を動かしている要因は、金利差、各国の景気、投資家の心理など多岐にわたります。介入はそのうちの一つで、一時的な需給に働きかけるものです。

8月28日は、そのことが1日のうちに現れた日でした。午後7時に過去最大の介入額が公表され、午後11時の講演を受けてドル円が上昇した。日本側の材料より、米国側の材料が価格を動かしました。

介入の仕組みと、公表制度については為替介入とは?で扱っています。


まだ分かっていないこと

公表されたのは期間中の総額だけです。次の情報は、まだ出ていません。

分かったことまだ分からないこと
7月30日〜8月26日の総額 15兆3993億円いつ実施したか
1日あたりいくらか
どの通貨を売買したか

実施日と内訳が分かるのは四半期ごとの公表です。令和8年7月から9月期の日次データが出るのは、さらに後になります。

7月30日の介入について、市場では最大でおよそ8兆4500億円規模との推計が出ていました。この推計が実際と近かったのかどうかは、日次データが出るまで確認できません。


その他、今週あったこと

日銀副総裁の発言

8月27日、氷見野日銀副総裁が講演を行いました。利上げの時期やペースについては明言を避け、ややハト派的と受け止められたことから円が売られる場面がありました。

日銀の次回の金融政策決定会合は9月17日と18日に予定されています。市場では9月の追加利上げを見込む観測が出ています。

米雇用統計の年次改定

8月28日午後11時、米国の雇用者数の年次ベンチマーク改定の暫定推計も発表されました。

雇用統計の数字が後から改定される仕組みについては米雇用統計とは?で扱っています。


来週以降の予定

時期内容
8月30日〜9月8日植田日銀総裁が米国・スイスへ出張。G20などに出席
9月4日(金)米雇用統計
9月17日(木)・18日(金)日銀 金融政策決定会合

日米それぞれの材料が続きます。


何を確認すればいいか

  • 財務省の「外国為替平衡操作の実施状況」で公表値を確認する
  • 四半期公表で実施日と内訳が出たら、市場推計と比較する
  • ドル円が160円台で定着するのか、押し戻されるのかを水準で追う

当サイトは相場の見通しを予想しません。確認できる数字を追う形で整理しています。


まとめ

  • 8月28日午後7時、財務省が介入実績を公表。7月30日〜8月26日で15兆3993億円と、月次ベースで過去最大
  • 市場の想定は12兆円程度で、公表値はこれを3兆円以上上回った
  • 同日午後11時、ウォーシュFRB議長がジャクソンホール会議で講演
  • 講演を受けてドル買いが加速し、ドル円は159円41銭から160円20銭まで上昇。160円09銭で引けた
  • 7月30日の介入前は162円台後半。約1か月で160円台まで戻った
  • 公表されたのは総額のみ。実施日と内訳は四半期公表を待つ

過去最大の介入額が判明した日に、その介入をした水準へ相場が戻りました。介入は急激な変動を抑える手段であって、流れそのものを変えるものではない、ということが数字に表れた形です。

相場を見るときの軸は相場をたしかめるで整理しています。


※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。相場の見通しを断定するものでもありません。FXには損失が生じるリスクがあります。取引の判断はご自身の責任において行ってください。

※本文中の数値は2026年8月29日時点で確認できた公表情報および報道にもとづきます。7月30日の介入規模8兆4500億円は市場推計であり、確定値ではありません。

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