FXの手数料は本当に無料?スプレッドが年間いくらになるか計算



FXの広告では「取引手数料0円」「各種手数料無料」という表示をよく見かけます。

これは事実です。国内のFX会社の多くが、取引手数料・口座維持手数料・入出金手数料を無料にしています。

ただし、取引にコストがかからないという意味ではありません。 スプレッドという別のかたちのコストがあります。

この記事では、そのスプレッドが1回でいくら、年間でいくらになるのかを計算します。そして最後に、会社を変えると年間いくら変わるのかまで出します。

無料なのは本当。では何で成り立っているのか

FX会社も事業として運営されている以上、どこかで収益を得ています。その主な収益源がスプレッドです。

つまり「手数料無料」は、手数料という項目がなくなっただけで、コストの受け取り方が変わったということです。

無料になっている主な項目はこうです。

項目一般的な扱い
取引手数料無料
口座開設手数料無料
口座維持手数料無料
クイック入金手数料無料
出金手数料無料
スプレッドかかる

スプレッドとは、売値と買値の差

FXの取引画面には、価格が2つ並んで表示されます。売る値段(Bid)と買う値段(Ask)です。

この2つは同じではありません。買う値段のほうが、わずかに高く設定されています。

たとえば米ドル/円で、

  • 売値 159.000円
  • 買値 159.002円

この差が 0.002円 = 0.2銭 です。これがスプレッドです。

なぜこれがコストになるのか

159.002円で買った直後に、同じ瞬間に売ろうとすると、売値は159.000円です。何も起きていないのに0.002円分の損が出ます。

つまり買った瞬間から、スプレッド分のマイナスで始まるということです。

なお、スプレッドは新規建てと決済で2回かかるわけではありません。売値と買値の差なので、往復で1回分です。


1回の取引でいくらか

スプレッドを実額に直します。計算はかけ算だけです。

コスト = スプレッド × 取引通貨量

米ドル/円、スプレッド0.2銭の場合

取引量1回あたりのコスト
1,000通貨2円
5,000通貨10円
10,000通貨20円
100,000通貨200円

1万通貨で20円です。ここだけを見ると、ほとんど無視できる金額に思えます。

買った瞬間、いくらマイナスから始まるか

同じことを言い換えると、こうなります。

1万通貨で買った瞬間、口座には−20円の含み損が表示されます。

これを取り返さないとプラスになりません。0.2銭のスプレッドなら、0.2銭(=0.2pips)以上動いて初めて利益の領域に入ります。

短時間で数銭を狙う取引ほど、この最初のマイナスが重くのしかかります。「手数料負け」と呼ばれるのは、値動きで得た分がスプレッドを超えられない状態のことです。


年間でいくらになるか

1回20円でも、取引回数が積み上がれば話が変わります。

米ドル/円 1万通貨、スプレッド0.2銭(1回20円)の場合

取引頻度年間の取引回数年間コスト
月1回12回240円
週1回約52回1,040円
1日1回約250回5,000円
1日5回約1,250回25,000円
1日10回約2,500回50,000円

1日10回の取引を続けると、年間5万円がスプレッドとして出ていきます。1回20円という感覚と、年間5万円という数字は、同じものです。

取引回数を増やすほど、コストは比例して増えます。 ここが、短期売買と長期保有で重視すべきコストが変わる理由です。


では、会社を変えると年間いくら違うのか

ここが本題です。

米ドル/円のスプレッドは、国内の主要な会社で 0.18銭〜0.2銭程度の水準に集まっています。仮に0.2銭の会社から0.18銭の会社に変えたとします。

差は 0.02銭。1万通貨あたり2円です。

年間の差額はこうなります。

取引頻度年間の取引回数年間コスト差
月1回12回24円
週1回約52回104円
1日1回約250回500円
1日5回約1,250回2,500円
1日10回約2,500回5,000円



この数字が意味すること

年間コストそのものは無視できません。 1日10回の取引なら5万円です。

しかし、会社を変えて減らせるのはそのうち5,000円です。年間コストの1割程度にとどまります。

そして月1回の取引なら、年間の差は24円です。

つまり、

  • 取引回数を減らす → コストは比例して減る(大きく効く)
  • 取引量を減らす → コストは比例して減る(大きく効く)
  • 会社を変える → 数%〜1割程度減る(小さく効く)

コストを下げたいなら、まず自分の取引の回数と量を見るほうが効きます。

「どこが一番安いか」を探す前に、「自分は年間何回、いくらの量で取引するのか」を出す。そのほうが金額として大きく変わります。


スプレッドは常に一定ではない

多くのFX会社が「原則固定」と表示していますが、「原則」の部分に例外があります。

原則固定が適用されるのは取引が活発な時間帯に限られるのが一般的で、次のような場面では広がることがあります。

場面理由
早朝(日本時間の午前5時前後など)参加者が少なく流動性が低い
重要な経済指標の発表前後価格が急変しやすい
主要国の祝日市場参加者が減る
政変・災害など市場が不安定な局面流動性の低下

また、マイナー通貨ペアには原則固定が設定されていないことがあります。

表示されている数字は「いつでもこの値」ではなく、「条件が揃っているときの値」と理解しておく必要があります。


よくある質問

スプレッドは買うときと売るとき、2回かかりますか

かかりません。売値と買値の差なので、往復で1回分です。新規建ての時点で含み損として現れ、決済時に追加で引かれるわけではありません。

スプレッドはどこで確認できますか

取引ツールに表示されている売値と買値の差がそのままスプレッドです。各社の公式サイトにも一覧が掲載されています。ただし表示は原則固定の条件下の数値なので、実際の取引時の値は画面で確認してください。

「銭」と「pips」はどう違いますか

対円の通貨ペアでは1pips = 0.01円 = 1銭なので、0.2銭は0.2pipsと同じです。呼び方が違うだけで、指しているものは同じです。詳しくはpipsとは?で整理しています。

スワップポイントもコストですか

受け取る場合と支払う場合の両方があります。日をまたいでポジションを持つ場合に発生するもので、取引のたびにかかるスプレッドとは性質が異なります。

手数料が本当に無料の会社はありますか

取引手数料を無料としている会社は多数あります。ただしスプレッドは必ずかかるため、コストがゼロになることはありません。


まとめ

  • 「手数料無料」は事実。ただしスプレッドという実質コストがある
  • スプレッドは売値と買値の差で、往復1回分
  • 買った瞬間、その分のマイナスから始まる
  • 1万通貨0.2銭なら1回20円。1日10回の取引で年間5万円
  • 会社を変えて減らせるのは、そのうち1割程度(1日10回で年間5,000円)
  • 回数と量を減らすほうが、金額としては大きく効く

コストを気にするなら、比較よりも先に自分が年間何回、いくらの量で取引するのかを出してみてください。そちらのほうが、動かせる金額は大きくなります。

1回の取引で必要な資金の考え方はFXの始め方で、取引量と倍率の関係はレバレッジとはで整理しています。用語全体はFXのしくみをたしかめるにまとめています。


※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FXには損失が生じるリスクがあります。取引の判断はご自身の責任において行ってください。

※記載している数値は2026年8月18日時点で確認できた一般的な水準にもとづく計算例です。スプレッドは各社の判断により変更されます。最新の条件は各社の公式サイトでご確認ください。

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